2022/08/25
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ビジネスでは靴で印象が決まる!防水スプレーの仕組みを知ろう

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要となるのは「表面自由エネルギー」だった!

「おしゃれは足元から」と言われるように、ビジネスシーンでも足元はよく見られています。目に付きやすいスーツや髪型だけでなく、靴まで綺麗にしている人は好印象です。就職活動での面接や大事な商談には、清潔な靴を履いていきたいですよね。そんな時に使用する防水スプレーは一体どんな仕組みで水をはじくのでしょうか?スリーボンドの研究開発員が防水スプレーの仕組みを化学的な目線からご紹介します。

使う前に確認!防水スプレーの種類

一括りに防水スプレーといっても「シリコン系」と「フッ素系」の大きく2種に分けられます。
それぞれ特徴があるので、用途に合わせて使い分けましょう。

シリコン系とフッ素系の特徴を知ろう

  • シリコン系防水スプレー

「シリコン樹脂」を主成分とします。充分な撥水性を示しますが、油をはじく効果が低いため、油汚れを防ぐことは期待できません。一方、フッ素系に対し価格的には安価であることがメリットです。

  • フッ素系防水スプレー

「フッ素樹脂」を主成分とします。一般的にシリコン系よりも撥水性が高く、また、油をはじく効果があるため、油汚れを軽減することが期待できます。ただし、シリコン系よりも価格が高い傾向にあります。

雨天のとき、傘を差していても、どうしても靴は濡れてしまいますよね。そのため、防水スプレーには、高い撥水性が求められます。また、靴を出来るだけ長く綺麗な状態で履くためには、水だけでなく汚れに対する対策も必要です。よって、靴には防水と防汚が期待できる「フッ素系」の防水スプレーのほうが適しているといえます。

シリコンやフッ素が水や油をはじく力とは?

物質のもつ「表面自由エネルギー」が関係しています。

例えば、コップに水を注いだ時、あふれそうになっていてもギリギリのところであふれない、コップの縁で水が丸まっている状態を見たことがありますよね。これは水の「表面自由エネルギー(表面張力)」によるものです。

表面自由エネルギーとは、物質の中で分子同士が引き合う力です。水はこの分子同士が引き合う力が強いため、内側に強く引っ張られます。そのため、水はコップの縁で丸まることができます。

なぜ「シリコン」よりも「フッ素」のほうが水と油をよくはじく?

表面自由エネルギーとは、物質の中で分子同士が引き合う力。つまり、「物が接する相手の分子を引き寄せようとする力」とも言えます。表面自由エネルギーの値は物質によって決まっています。

そのため、防水スプレーの表面自由エネルギーが水よりも低ければ低いほど、水を引き寄せない、つまり水をはじくことが分かりますね。フッ素樹脂のほうがシリコン樹脂よりも表面自由エネルギーが低いので、より水をはじくことができます。

油の表面自由エネルギーは35mN/m程度と、シリコン樹脂とほぼ同じ値です。互いに相手を引き合う力が均衡しているため、油はなじんでしまいます。一方、フッ素樹脂は表面自由エネルギーが20mN/m程度と油よりも値が小さいので、水ほどではないものの、油をはじくことができます。

このような理由から、シリコン系よりもフッ素系の防水スプレーのほうが、水や油をよくはじくことができます。

身近にある防水スプレーの仕組みが分かりましたか?ビジネスマンの好印象を与える綺麗な靴は、こういった仕組みによって支えられているんですね。

スリーボンドの研究開発員はくっつくだけではなく、防水スプレーの様に物質が持つ「はじく」仕組みを理解し、日々製品開発に取り組んでいます。スリーボンドの事業や研究開発員の仕事について知りたい方、またスリーボンドのはじく製品について知りたい方は下記リンクを是非ご覧下さい。

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