2022/12/12
Q

プラスチックにはどんな種類がある?

A

「熱可塑性樹脂」または「熱硬化性樹脂」の大きく2つに分けられます

私たちの生活にとって欠かせないのがプラスチック。しかし、近年プラスチックは廃棄による環境への影響や原料である石油資源の枯渇が問題となっています。それらの解決案として、レジ袋の有料化や紙ストローの活用など、プラスチックそのものの削減、そしてリサイクルが呼びかけられています。プラスチックにはどのような性質があり、どのような種類があるのか?スリーボンドの研究開発員が分かりやすく説明します。

プラスチックは大きく2つに分けられる

プラスチックの「plastic」という言葉には、可塑性物質を指す「plasticizers」という意味があります。その名の通り、合成樹脂であるプラスチックの内90%は「熱可塑性樹脂」、残りの10%は「熱硬化性樹脂」に分けられます。あまりなじみのない言葉ですよね。これがプラスチックのリサイクルに大きく関わります。

熱可塑とは?熱硬化とは?

力を加えると自由に形を変えられることを「塑性(そせい)」といい、柔らかく形を変えることができることを「可塑(かそ)」といいます。熱を加えることで形をかえることができる樹脂を「熱可塑性樹脂」、反対に熱を加えることで固まってしまい元の形には戻すことができない樹脂を「熱硬化性樹脂」と呼びます。

たとえば、冷やされて固まったチョコレートを想像してみて下さい。チョコレートは、熱を加えると柔らかく液体の様になりますが、また冷やせば元の形に固めることが可能ですよね。反対に、熱硬化は、目玉焼きの様に焼いてしまったら生卵には戻せないことをイメージしましょう。

プラスチックの種類を知ろう

ここではプラスチックの種類について見てみましょう!みなさんの生活にとってプラスチックが欠かせないことが分かります。

<熱可塑性樹脂>
ポリエチレン:バケツ、フィルム、シート、灯油タンク
ポリプロピレン:タッパー、プランター、コップ
ポリスチレン:CDケース、電化製品の外装、カップ麺の容器
ポリエチレンテレフタレート(PET):卵パック、フリース等の衣類
ポリ塩化ビニル:水道管のパイプ、ビニールハウスの生地
ABS樹脂:テレビ、冷蔵庫、パソコン等の電化製品や精密機器の外装

<熱硬化性樹脂>
エポキシ樹脂:接着剤、電子回路の基板、塗料
ウレタン樹脂:台所用たわし、マスク
フェノール樹脂:電気製品の絶縁体、住宅用の断熱材

プラスチックをとりまく問題

みなさんの生活にとってプラスチックが欠かせない存在であることが分かりましたね。これらのプラスチックは、化石資源である石油からつくられています。石油は蒸留されることによってエチレンとなり、プラスチックなどの石油化学製品の原料となります。

原料となる化石資源には限りがあり、石油が採掘できる期間は世界全体で残り約50年とも言われています。石油がなくなってしまったら、日常にあふれるプラスチックを作り出すことはできません。そのため、紙ストローといった他の素材で代用したり、今あるプラスチックをリサイクルしたりすることで資源を循環することが求められます。

プラスチックの90%が「可塑性」であり、熱を加えると柔らかく変形できることが分かりましたよね。今あるプラスチックはリサイクルに出すことによって、溶かし、固めて、また別の次のプラスチック製品へと生まれ変わることができます。1回よりも2回、それだけでも資源を2分の1に減らすことができます。

「3R」から「5R」へ

環境に配慮した「循環型社会」を実現するために、Reduce、Reuse、Recycleの頭文字をとった「3R」を聞いたことはありますよね。ではそれらに2Rを追加した「5R」をご存じですか?

Reduce(リデュース):ごみを発生させない
Reuse(リユース):ごみにせず再利用する
Recycle(リサイクル):資源として再利用する
Repair(リペア):ものを修理して長く使う
Refuse(リフューズ):ごみになるものを断る

たとえばレジ袋有料化によって、エコバッグを持つことが多くなると、「袋はいりません」と断ることが多くなりましたよね。これはまさに5Rの1つである「Refuse」の行動です。

さて、いかに私たちの生活にプラスチックが欠かせないのか、またプラスチックはどうやって成り立っているのか、リサイクルの大切さについて理解できましたか?

「私だけならいい」という考えではなく、「私からはじめよう」という気持ちを社会全体で持つことによって、私たちの暮らす地球を守り、限りある資源を有効に活用することで豊かな生活を保つことができます。

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