2026/03/10
Q

求められるのは"はがせる"接着剤?

A

キーワードは「資源の再利用」

前回のコラムにて「最強接着剤とは何か?」を考えました。お客さまが接着剤を使用するシチュエーションによって「最強」の定義が異なる訳ですが、前提として「絶対に離れないこと」=「強い」と仮定して話をしました。

ただ実際、近年注目を集めているのは「易解体(いかいたい)性接着剤」、つまり「くっつけたい時にはくっついて離れず、剥がしたい時にキレイに剥がれる」接着剤です。

くっつけたいのに、剥がしたい??
せっかく接着剤でくっつけたものを、剥がしたい時ってどんなときでしょうか?

キーワードは、「資源の再利用」です。

サステナブルな時代を支えるメーカー

例えば、自動車や電子機器などは、使用後に廃棄物として回収されます。分解した廃棄物から、まだ使用できる部品や希少金属(レアメタル)などが回収され、また新たな製品としてリサイクル・リユースされるのです。使用済み製品をより簡単に分解・分別することができれば、部品や原材料を効率よくリサイクルすることができ、環境への負荷を低減させることに繋がります。そのため各製品メーカーにおいては、製品自体の構造を「より解体しやすい」ものに改善することが求められているのです。

それと同様に、接着剤メーカーのスリーボンドとしては「くっついて欲しい時には剥がれず、剥がしたい時には剥がしやすい」という、相反する性能をもった接着剤が求められます。スリーボンドが研究している内容を、少しご紹介させていただきます。

易解体性接着剤とは?

短時間で接着強さを低下させるには、「解体トリガー」と呼ばれる外部からの刺激を与える必要があります。例えば、光や熱、超音波、電気、薬剤が解体トリガーになり得ます。解体トリガーを与えることにより、接着剤が剥がれるメカニズムは「分解型」と「非分解型」の2つに分類されます。

●分解型
接着剤が固まる際に形成された化学結合を、解体トリガーを与えることにより切断するのが「分解型」です。例えば、分解させたいタイミングで薬剤を塗布する方法です。

●非分解型
化学結合の切断を伴わない分解を指します。例えば、熱を加えると膨張するマイクロカプセルなどを接着剤に加えておくとします。分解させたい時に熱を加えることでカプセルが膨張し、その力を利用し解体するといった方法です。

スリーボンドの社会的責任

いずれの分解方法においても、「意図していないタイミング」に誤って接着剤が外れてしまうことは、接着剤メーカーとしては絶対に避けなくてはなりません。例えば、熱を解体トリガーとする接着剤は、熱が発生する場所では使われない製品にのみ使用可能となります。

一例ではありますが、スリーボンドで研究を進めているのが「酸化剤」を分解トリガーとする接着剤です。酸化剤とは、台所用の漂白剤に含まれている成分で、自然界には存在していません。自然界に存在しない成分を分解トリガーとして使用することで、意図していないタイミングで誤って接着剤が外れるリスクを抑えることができます。

上記のように、様々な易解体性接着剤の研究を進めているスリーボンドですが、接着部分の解体には非常に手間がかかるのが現状です。より低コストでのリサイクルを実現するためには、製品自体の設計段階から、接着剤の特性を良く理解してもらうことが重要になります。サステナブルな社会の実現に向けて、製品メーカー様とスリーボンドで一層、密なコミュニケーションを図って参りたいと思います。

テクニカルニュース

テクニカルニュースではスリーボンドの技術を紹介しています。

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