瞬間接着剤が指・皮膚に付いたら?
まずは落ち着いて。無理矢理剥がさないで!
ドラマの緊迫シーンに接着剤メーカー社員が思わずハラハラ・・・
よく医療ドラマを見た現役医師が「これは現実の医療現場ではあり得ない」と解説しているのを見かけますよね。実は、私たち接着剤メーカーの社員も「いやいや!」と突っ込みたくなってしまうことがあります。
先日とあるドラマを見ていると、瞬間接着剤を使ったシーンがありました。犯人が瞬間接着剤を使って無理やり、危険物を相手の肌にくっつけてしまうというシーンで、その際の主人公の対処としてカッターナイフを使って危険物を剥がしていました。ドラマでは無事に危険物を取り除けていたものの、カッターにより皮膚が傷ついてしまい、とても痛々しく、そして緊迫感のあるシーンとして描かれていました。
この緊迫シーンに思わず突っ込んでしまったのですが、実はこの接着剤をカッターで剥がすという対処法は、接着剤メーカー社員は絶対に行いません。
なぜ「カッターで剥がす」のはNGなのか?
そもそも瞬間接着剤は主成分である「シアノアクリレート」が「水分」に反応することで化学反応を起こし、瞬時に硬化する接着剤です。貼り合わせたいものの間で接着剤が薄く塗り広がることで、ものの表面に付着する水分と反応し、硬化します。その際、接着剤の厚みが薄い方が硬化時間も短く、接着強度も強くなるのです。
一般的な瞬間接着剤の適切な厚みは0.05mm程度です。髪の毛の太さが約0.07mmなので、かなり薄いことがわかりますね。誤って指と被着物が接着剤で固まってしまった場合、接着剤と皮膚の境目を目視することはほぼ不可能でしょう。ということはカッターを使って剥がそうとした場合には、高確率で皮膚もしくは被着物そのものを切り取ってしまうことになります。
焦っている時ほど無理に剥がしたくなりますが、実は瞬間接着剤は思っているよりも簡単に除去できる場合がほとんどです。
では、瞬間接着剤が皮膚についてしまった場合の、基本的な対処法をご紹介しましょう。


最も簡単な対処法は「水に濡らすこと」
先ほど瞬間接着剤は水分に反応して硬化するとお伝えしましたが、実は硬化した後は水に弱いので、水に触れるような場所では使用されません。ただしそれは長期間水に濡れる場合の話ですので、水によって接着剤を溶かすというのはこの場合、難しいです。
水に濡らすことで接着剤が剥がれる理由としては、水に濡れた皮膚がふやけるためです。濡れた皮膚の表面部分が新陳代謝により剥がれることで、接着剤自体も一緒に剥がしてくれます。
さらに素早く剥がすのであれば、お湯を使ってもみほぐすと良いでしょう。40度程度のお湯の中でもみ洗いすれば、皮膚がふやけるスピードが上がり、数十秒の内に剥がれてくれます。
それでもだめなら「アセトン」を活用
水では接着剤自体を溶かすのは難しいという話をしましたが、接着剤を溶かしてくれる成分があります。
代表的なものが「アセトン」です。アセトンとはマニキュアを落とす除光液などの主成分でもあり、硬化した瞬間接着剤を分解してくれます。
お湯で揉み込んでも細かいカスが手に残ってしまう、爪にもついてしまった、という際には、化学の力で分解してもらうのが良いと思います。
ただしアセトン自体、皮膚への刺激が強いなど人体への影響もあるため、使用時は十分な注意が必要です。
何より大切なのは「付けない工夫」
接着剤を使用される際に最も重要なのは「そもそも皮膚に付けないようにすること」です。身近に使われる瞬間接着剤であっても、ポリエチレン製の手袋を使用されることをおすすめします。
なお布製の手袋は、瞬間接着剤がついてしまった場合に発火する恐れがありますので使用はNGです。「カイロが温かくなるのはなぜ?」で解説していますので、そちらもご確認ください。
一瞬の内に、しかも少量の瞬間接着剤が手に着いてしまっただけなのに、ガチッと固まってしまうと「取れない!どうしよう!」と焦ってしまうかと思いますが、そんな時こそ落ち着いて、まずは上記の応急処置をお試しください。
カッターで切り取るというのは、絶対におやめくださいね。